Culture Square

細胞培養で文化を創りたい人間のブログ。基本日々の備忘録です。

日本最高峰のScience CGに触れてみた! ~現行の医療CGの限界と今後の発展~

先日、早稲田大学にてSciementの瀬尾社長の講演会に参加してきました。

Sceimentをご存じない方はこちらへ

瀬尾社長は第一線で活躍するScience CGクリエイターであり、

総務省が発表した「異能ベーション」に採択された、通称「日本の変な人(らしい)」です。

なお、彼の名誉の為にも付け加えておきますが、ここで言う「変」というのは

卓越している「ネ申」、という意味に近いです。

中学生~高校生時代にCGが勉強の理解力を高めることに気付いてから、

CG制作の方向に歩を進めたらしいです。

東大医学部を出ているお医者さんでもあるため、人体の構造・性質を理解している

という点で他のCGクリエイターとは一線を画します。

さて、今回の講演会では「今の医療系CGの限界」について話が挙がりました。

今、CG業界では「これからの市場は医療とパチンコだ!」と言われています。

パチンコはさておき、なぜ医療なのかというと、インフォームドコンセントが重視される風潮が背景にあります。どんな治療法を扱うのか?どんな手術を行うのか?それをなるべく分かり易く伝える為に必要とされています。

しかし、ここで瀬尾社長は警鐘を鳴らしました。

「今の医療系CGは、あくまでも正確っぽいに留まっている。」

どういうことでしょう?

たとえば、こんなものです。

heart samurai.png

「世の中には人体の3Dモデルをパッケージ販売している製品にしている3DCGモデルがあるが、実際に医学的には正しいものは多くない」とのこと。

そもそも、CG業界で働くクリエイターさん達はアニメへの制作に熱を入れる方々が多いため、

医療関係にはめっぽう弱かったり、もしくは興味がない方が多いらしいです。

一方で、そのCG制作を頼んでいるお医者さん達は、CG制作技術の知識はほぼ皆無と言って良いぐらいです。

つまり、現状での医療CG最大の問題は、

「それぞれの領域の通訳者となる人が非常に少ない」

という点にあります。

その点で、瀬尾社長は日本でも屈指の通訳者でしょう。

これはScience全般にも言えることではないでしょうか?

普通のクリエイターさんに丸投げするといっても、ほとんどの研究者はCG制作技術を知りません。

また、クリエイターさんは科学の知識を持っていないことが多いです。

この状態で丸投げするとどうなるか?

極端な話、細胞膜脂質二重膜の疎水基と親水基の向きが逆になるなどの誤解を生むことになります。

もし研究成果のアウトリーチをCGで行うとするならば、

研究者自身にもCG制作過程の基礎的な部分は知っておく必要があるのでないでしょうか?

もしくは、その両方の知識を持った人間を傍に置くことが大事でしょう。

「今後、日本のScience CG業界はどうなっていくんだろ?」

講演会を聞きながら、色々な想像を膨らませていました。

Slideshareにて詳しい説明スライドが公開されていました。