Science CG アドバイザーって何する仕事なの?
最近何人かの方から僕の仕事について質問されたので、この場を借りてお答えしようと思います。
質問内容は
「Science CGアドバイザーって何する仕事なの?」
です。
まず大前提として言えるのは、「Science CG アドバイザー」は僕が勝手に名乗り始めた
肩書であり、資格があるわけでも、ましてや世間一般に認知されてすらいない職業です。
なので決まりきった「こんな仕事」というものは有りません。
敢えて言うならば、Science CGを使った研究アウトリーチのサポート業務です。
そもそも、なぜこんなネーミングにしたかというと、CGクリエイターとの違いを意識した結果です。
Science CGといえば瀬尾拡史さんがクリエイターとして有名ですが、彼の作品は専門学校でとことん技術を磨いて制作するレベルです。広報利用を目的にすると、これくらいのレベルは要求されます。
実際の作品はこんな感じです。技術力が羨まし過ぎて毛穴から変な液体が出そうです。
一方で僕は普段の研究活動をサポートする側に立つ仕事なので、実際のクリエイトの作業はあまり
行いません。むしろ多くの仕事は「研究者とクリエイターの間の仲介役」です。
研究者でグラフィックの知識を持つ人は殆ど存在しません。バイオや化学系は尚更その傾向が強いです。
そういう方々から制作の仕事を受けた時に、頂いた資料から作りたい物を具体化し、制作スタッフにお願いする形を取っています。この際、双方に伝わる異なる用語でコミュニケーションを取ることになります。
幸い僕が所属した大学の学科は、医学・バイオ・化学・物理・数学など様々な分野を網羅的に扱うところだったので、どの分野の方の相談でも大まかに内容を把握することが可能です。
例えば、この動画を作りたいという要望が来るとします。(僕らの作品ではありません)
「3Dモデルが〇個必要で、それぞれ×日の工程が掛かるから、お値段はこれ位」
「科学的に正しい形状を作るには、どの部分のメッシュを細かく操作して・・・」
「血液の流れはこの向きだから・・・」
「研究における新規性から、このシーンの説明にもっと時間を割いたら・・・」
などと考え制作の調整を行います。それがScience CGアドバイザーの仕事の一つです。
もう一つの業務として Science CG塾の講師もやっていますが、一般研究者向けの講義なので専門学校レベルの内容は扱っていません。それでも、パワポ図より遥かに高品質な画像は作ることができます。
実際に教えているCGは、パワポ図より高品質ですが一流クリエイターのレベルには到底及びません。
グラフィックの世界ではミドル~ローエンド画像になります。制作期間も15分と掛かりません。
しかし一般の研究者が学会ポスターや内部共有資料に使用する場合、これ位のレベルが妥当になります。
専門学校に通うにもお金と時間が掛かりますし、外注にも費用が掛かります。
研究者一人一人のアウトリーチ力を高めるためには、使用への障壁をなるべく低くしなければなりません。
ここまでをまとめると、僕の仕事は
「Science CGを一般研究者にとって使用し易くするお手伝い」
だと思います。
これから状況の変化によって、仕事の内容も多種多様になると思いますが
この考えは変わらず続いていくのでは?と予想しています。
ではまたの日に。