培養X年目の与太話

培養、与太話

細胞培養と与太話で生きてます。

【動画PDFの衝撃!】PDF動画を簡単に作れるソフトが開発されたらしい

以前一度、AdobePDFに動画を組み込む機能について触れたことがあります。 僕はこの1年、紙の論文誌を読んだ覚えがありません。 最近はほとんどの論文誌が電子化されているため、ネットに繋がりさえすれば論文にアクセス出来るようになっています。(読むライセンスを持っていればですが。) 加えて、論文内に載せられ無かった動画は、"Supporting Information"として別にダウンロードも可能だったりします。僕が頻繁に読むバイオマテリアル関連では、作った材料内での反応などが伝わり易くするために、動画がアップされていることも多く見受けられます。デジタルに移行することで起きる流れとしては、典型的と言って良いでしょう。 この調子だと、論文誌の中での動画リテラシーが益々高まっていくのは必至です。 さらに言えば、動画サイズを小さくして論文のPDF内に入れ込む動きも出てくるでしょう。 加えて、サムネイルに動画を組み込んで直ぐに論文の内容を掴むことも可能でしょう。 動画コンテンツが論文に入れば、他分野の研究者にでも「読んでもらえる、理解して貰える」可能性が高まってくると予想されます。文章より画像、画像より動画の訴求力の方が強力ですので。 論文の質を担保する要素として「被引用数」があります。これを稼ぐには、まずは読んで貰えなくては引用もされません。パッと見で他の研究者の目を引く、近いされ易い方が有利なのは間違いありません。 そして、それを叶えるかもしれないツールが既に開発されつつあります。 Dracoというソフトです。これはペンタブなどで簡単に動きを伴った動画を制作できるツールです。 物理シミュレーションも加えられている部分に機能性を感じます。 また実際に動画が埋め込まれているPDFファイルが、以下のURLからダウンロードできます。 初めて自分の目で見た時は驚きでした。是非一読してみて下さい。 https://www.autodeskresearch.com/publications/draco ここまで来ると、ゆくゆくは論文誌のVR化でしょうか? 材料科学であれば、匂いや質感、機構などを直に読み手に伝えることができます。 フィールドワークを行う自然科学研究では余計にVR化する意義があります。 文章だけでは伝わらない部分まで他の研究者と共有できる利点は大きいです。 現状ではHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が高価であり一般向けでは無いのが問題ですが、 ハコスコやGoogle Cardboardといったローエンド製品の機能が拡張されれば可能かもしれません。 head_mount_display.png ar_kakuchou_genjitsu.png 今回は少し空想じみた内容になってしまいましたが、5年後の状況は誰にも予想できません。 VRが少しずつ世界のスタンダードになっていくと同じように、論文も動画素材を介した発表が 主流になっていく可能性は捨てきれない状況です。 ではでは。