昨日行ってきました静岡文化芸術大学の有志展示会のレポートです。
場所は六本木のAXIS ギャラリー。都会の良い立地でした。
以前 Shojinmeat Project と繋がってから、一緒に活動をしているYoshitake さんの作品を見に行ってきました。
純肉(培養肉)の社会実装デザインの展示を見に行った。多分日本で初。
僕ら科学者は研究開発だけじゃダメで、技術実装に向けた道筋や形式にも寄り添って行くべきかと。科学者向けのデザインセミナーとか無いかな? pic.twitter.com/3t8BvBnxUE
— Keita Tanaka (@keitasciencecg) 2017年3月11日
卒業制作に純肉の社会実装デザインを起用してくれたのは驚きでした。
本人の話によれば、今回の作品はスペキュラティブ・デザインによって未来の食肉生産における問題提起や議論を喚起するきっかけにしたいとのことでした。
デザインというと、服や車の「見た目」を設計するということに捉えられがちではありますが、実際はどう社会に実装していくか?などといった「プロセス」や「コンセプト」もデザインの対象に挙げられます。デザインとは、僕らの生活と一体なんですね。
スペキュラティブ・デザインについてはこちらから
実際の展示ですが、まず目についたのは住宅で肉を生産する機械のコンセプトモデル。
塩化ビニルと厚紙で外観を造形し、中の肉は毛糸で表現しています。
実体物で見せられるという点で造形には3Dプリンターには無い良さが感じられます。
次に食肉生産における問題提起のパネル。
論文のそっけない情報も、デザインによってここまで見やすく整理されました。
3色以上を使わないのがポイントとのことでした。
次に実際の純肉生産プロセスの説明図。
下の円グラフの形式は初めて見ましたが、分かりやすい!
今度発表資料に使ってみようと思います。
そして一番気になったのがこれでした。
真ん中で左右2つのグループにカテゴライズしています。
左は純肉のアクティブユーザー、左はパッシブユーザーです。
それぞれのグループの人間の思想、社会的意識、住む環境によって分類し
それぞれに相応しいされる純肉との付き合い方を提案しています。
新規技術で世界を変えることを目的にした研究者にとって、重要な課題があります。
それは「技術だけの議論だけでは社会実装には至らない」という点です。
技術のユーザーが発生する以上、彼らの立場から最適な技術との付き合い方を提案していく必要があります。
アップル社のiPhoneはユーザー体験を突き詰めた結果とされてますが、ユーザーがどのように使い、どのように社会に浸透していくか?を提案していかなくてはなりません。
今回の作品は、それを感じさせてくれるものです。
普段はラボで実験するのみの自分とって大変良い刺激となりました。
なお、今回の作品については夏に発行する同人誌でも解説する予定です。
なお、詳細な情報はこちらから
「なぜ必要なのか?」「どうやって肉を作るのか?」
「それをどう社会に実装していくのか?」
など、情報発信のノウハウが溜まっていないのが純肉の業界。
今回の作品は、ノウハウの改善や方向性を考えるために大いに波及する
可能性を含んでいると言えます。