おはようございます。
更新まで随分と時間が経ってしまいました。
さて、このブログを好んで読んで頂いている方には、僕が純肉(培養肉)開発に関わっていることをご存じかも・・・しれません。(多分そう)
コミケで薄い本を発表したり、ニコニコ動画に動画をアップしたりと割とオープンに情報発信をさせて頂いております。
そんなことをしていると、よくこんな質問を受けます。
「なんでそんなにオープンに発信する必要があるの?」
これ、結構な話なんで記事にしてみました。
1.社会全体で問題を共有し、社会全体で解決したい
これが一番の理由ですかね。こんなにも純肉研究をやっているのも、結局は将来の、もしくは現在進行形で来ている食料問題を解決したいがためです。
地球規模で起きている問題なわけですから、問題を発信していくのは共有していくのは当然のことです。解決に協力してくれる人を集める目的でもあります。
それに扱っているのが「肉」である以上、理系研究者だけではどうにもならない部分があります。「文化」との兼ね合いです。
文化といっても色々な要素がありますが、例を挙げると以下のような感じです。
・家畜を殺生しなくても良いなら、熱心な仏教徒の人でも食べれるの?
・ベジタリアンから見た純肉ってどうなの?
(ベジタリアンの人でも、野菜しか食べない理由は健康、動物愛護、宗教など多岐にわたるため、一概には言えない)
・純肉ってその地域の肉食文化に合っているの?
(肉食文化といっても、食べる肉の動物種や調理法に偏りがある場合もあります)
こういった部分については、まだ社会で明確に議論される段階には来ていません。
社会全体で課題解決を行うためには、まず議論を起こさなくてはなりません。
2.純肉の社会的イメージへの影響
ゆくゆくは食品として市場に出すことを狙うと、
「消費者目線のイメージ」が重要になってきます。
それを考えるにあたり、一介のバイオ研究者として注目に値する事例があります。
遺伝子組み換え食品の件です。
「遺伝子組み換え」や「遺伝子変異」という現象は、自然界でもごく自然に起き得ることです。にもかかわらず、こんなにも食品業界側も消費者側も「遺伝子組み換えではない」という表示に振り回されている感じが拭えません。
元々この問題は、とある大企業による独占戦略に対して、ネガティブキャンペーンが勃発したのがきっかっけでした。それがいつの間にやら、
以前、Wiredからこんな記事が出ていました。
将来の食肉を語る記事ではありますが、少し気になったのは
純肉に対してややネガティブに書かれていた点。
事実として間違ってはいませんが、ネガティブなイメージが独り歩きしてしまうと
今後の食料問題の解決に繋がりにくくなります。
こんな巨大サイトに対して個人ブログ主の僕が言っても仕方は無いのですが。
3.単純に面白いでしょ??
最後ですが、これは発信する側のモチベーションに関わることです。
誰もが純肉の最先端情報にアクセスできれば面白いのではないでしょうか?
最近ではバイオハッカーという言葉も出てきているように、個人でのバイオ研究へのアクセスが容易になってきています。
個人で得た情報をもとに、個人で純肉の研究開発ができる日もそう遠くはないでしょう。様々なソフトウェアが個人の力によって進化してきたのを参考にすると、純肉もいつか同じ道をたどるのでは、と。
10年前まではSFの中だけの世界とされてきたことが、今や
「できるかもしれない」という領域まで来ているんのです。発信せざる得ませんね。
SF文化が発展している日本やアメリカでは尚更。
ちなみにShojinmeat Prijectの代表もこんなことを言ってます。
純肉(培養肉)が世に出るにあたって、どこぞの大企業の本社ビルの中で企業秘密になってるよりは、製法から原料までニコニコ動画に丸上げされてて、詳細情報が書かれた薄い本がコミケやとらのあなで買えた方がおもろいやんけ
— ハニュー@探:バイオハッカー (@yukihanyu1) 2017年1月3日
さて純肉開発の現状ですが、既に今年の目標が掲げられており、
身が引き締まる想いです。
やりたいことをやるためにも、研究成果以外に
「どう社会にアプローチをかけていくか」が重要な1年になります。
何かをやるときには「人・者・金」が重要だなんて嫌と言うほどに聞きますが、
現実的にこの問題は直視しないとダメな気がしています。
新年あいさつと2017KPI – Animescience.net : 中二病するなら宇宙規模で!
なんとなく現実的なことも触れつつ、今回はお開きにしようと思います。
またの後日!!
その他参考サイト