モノやサービスの価格について考えさせられた。
じっくり考えればアタリ前の事実なのだが、日々の生活でそれを意識することは少ない。
会社の転勤に伴い、この10月に引越しをした。
引越し業者の繁忙期である10月に諸々調整するのは簡単でない。
会社都合の引越しなこともあり、費用は経費負担してもらえることになった。
となると複数の引越し業者から相見積する必要があるのだが、
業者側もそのへんの事情をわきまえているらしい。
電話口で相見積をしていることを察するやいなや、
「他社よりも少しでもお安く出来るように努力します!」
とコールセンター担当員が受け答えする。
会社経費で落ちるとはいえ、お安くなることは嬉しい。
だけど、それとは別にモヤモヤした感覚があった。
ぶっちゃけ、それだとアンタらの給与が上がらなくないか? と。
引越し業界も大手数社を筆頭に、自営業も含めて無数の関連業者がある。
こうなると、価格競争になることは必然だ。
しかも厄介なことに、一部の業者を除けばサービスに分りやすい差が無いものだから、客からすれば最後の決め手は価格になりがちだ。
彼らはその辺りをどう考えているのだろう?
実際、こういう情報を見ていると普通の会社員と同等か、
それ以下の給与水準に収まっている事実もあるようだ。
それと価格競争が直接影響しているかは断定できないが、
必ずしも水準が高い業界とは思えない。
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「価格で惹きつけた客は、価格で逃げていく」はそのへんの事情を
わかり易く表現しているのかもしれない。
価格競争の問題には更に先があるようで、モノやサービスの相場が作られる。
身近な例を考えれば、スーパーでの野菜小売なんかもそれだろう。
毎週のように買ってる¥100の白菜が、ある日を境に¥300にされたら驚くだろう。
なぜなら普段の生活を通して「白菜はおよそこれくらいの値段だ。」と認識しているからだ。
買い物上手の人なら、別店舗で安いものを買いに行く判断をするだろう。
だから店側も野菜高騰でも起きない限りは、安めの値段設定にする他無い。
引っ越し業者も同じで、単身引っ越しでこの距離だったらおおよそこの価格帯だろうと分かってしまう。
だから、一定の価格帯の中で最も安い業者だけが選ばれることになる。
一方で、ある領域だけに特化した業者もある。
引越し業界では夜逃げ専門の業者もあった。
これは代替が利かないという意味で、強く差別化されたサービスなのだろう。
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知り合いから某IT企業の話を聞いた。
その会社は国内CtoC事業の草分けで、売上で見れば一人勝ち状態らしい。
事実、その会社の新入社員の初年度給与は¥800万からのスタートするとのことだ。
彼曰く、
「あそこの会社は自分で相場を決められるんですよ」
たしかに自分しかそのビジネスをしていないのであれば代替が利かない。
それでも客に価値を見出されるのであれば、価格を自分だけで決定できる。
さきほどのスーパーの例えに沿うのであれば、
見たことが無い海外の野菜が1個¥500で売られていれば
「これはこういうモノなのだろう」と納得してしまう。
特定の企業だけから供給されるサービスにはそんな納得感がある。
どこの大企業も新規事業開発に熱心なのはこれが背景かもしれない。
つまり、誰も見つけていない価値を持つサービスをして、一人勝ちがしたい。
そんなことかもしれない。
ベンチャーに勤める自分の場合はどうだろうか?
当たればデカイ。
まだ世界中の誰も成し遂げたことがないから。