社内でScience VR検討会をやってみた! 「使い道」が重要という事実
3日ぶりの投稿です。
今回は昨日僕が所属する会社「インテグリカルチャー株式会社」
で行ったバーチャルリアリティー(以下VR)検討会の記録について書こうと思います。
メディアでも度々報道されていますが、VRは広告やアトラクションなど様々な範囲で
応用が期待されています。これから益々成長が期待されるメディアです。
かくいう僕らも3DCG制作を扱っているのもあり、VRの科学表現への仕様は非常に
興味がある分野です。
「現実世界なら体験できないことが体験できる」VRが、どのような方法で使用できるか
日々検証しています。
目的や予算に応じたグレードを!!
そこで弊社代表の羽生が所持するヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)を借りて、
社内でVR体験会を開いてみました。使ったものは「ハコスコ」と「Oculus Rift」です。
なぜ2種類のデバイスを使っているかというと、
様々なグレードへのVR使用を意識しているからです。
というのも、Oculus RiftはHMDの中でも画質が良いのが特徴ですが、
値段が¥10万程度と高額なのが現状です。
大学の研究室や個人で研究活動をされている方が使用するにはハードルが高くなります。
使うとしても企業が参加する展示会が主でしょう。
対してハコスコは¥1000程度で用意できてしまうので、スマホとVR対応動画さえあれば
直ぐにでも対応可能です。研究発表会やオープンキャンパスなどで使用する方法が想像できます。
また、動画のクオリティーも重要です。ゲーム等のハイエンドCGだとリアルさが求められる分、
どうしても制作費がかさむのが普通です。¥100万台は確実に達します。
しかしScience VRというのは、伝えたいもの(研究成果、ある分子、またはある機構)に
フォーカスした動画になるので視界に入るもの全てをハイクオリティーに作る必要はありません。
動画の尺にもよりますが、¥10万台から制作ができます。
マウスの神経組織を覗いてみた!
ちなみにこんなものを視聴しました。マウスの神経細胞です。
実際に体験してみて分かりましたが、バーチャルな空間内で神経細胞の繋がりを
見てみると実際に組織の中に入っていくような感覚になりました。
首を動かして視点を変えると、縦や横方向の細胞の繋がりも鮮明に分かります。
単純に教科書で組織の成り立ちを学ぶこともできますが、その中に没入して
行った方が位置関係が把握しやすいです。そして何より、記憶に残り易い!!
ただし、今回は組織中の細胞群にフォーカスしたため、マクロな視点で組織の成り立ちを
見るのには向きません。今回の動画はミクロな視点で組織を見る時に役立ちそうです。
脳科学を専門にしているメンバーが作った動画。
神経細胞が無数に繋がっている様子は圧巻の極みでした。
VR動画を視聴する田中と代表の羽生。「画がシュール過ぎる」と他メンバーから突っ込みが入りました。
音声の方はOculusでヘッドフォン、ハコスコの方はイヤホンで対応しています。
上を眺めたり・・・・
下を眺めたり・・・・ 視点を変えれば見えるものも変わる。
「体験する」という点を満たすうえで重要な要素です。
Science VRは「如何にして使うか?」が最も重要
今回の体験会はあくまでも試作・検証が目的でした。
VR動画は「つくるだけ」ならば、最早ハイレベルな技術は必要ありません。
VR対応の家庭用PCがあれば、十分に作れてしまいます。
(アミューズメント施設のアトラクションのレベルになれば話は別ですが)
一方で、VRの一番の問題は「如何にして使うか??」という部分だと改めて実感した
のも事実です。この点は最も議論を重ねなくてはならないでしょう。
ただ見せるだけでも面白いですが、それでは単純に「凄い!面白い!」だけで
終わってしまいます。「研究を伝える」という目的が達成されないことに成りかねません。
僕らは現時点でもVR動画制作案件も扱っていますが、
「何を目的としたコンテンツとして提供するか?」
については、まだまだ勉強・検証ばかりの日々です。
科学を伝える媒体としてのVRの可能性は、VR業界全体でもまだ開発途上なのです。
その反面「可能性を追求する」ことに対し、研究者である僕らの心は昂ぶっています。
また進捗ができましたら報告しようと思います。
それでは!