先日のコミックマーケット95でCulture Square としてサークル出展をした。
頒布したのは家での培養肉生産家電の実装を想定した検証 Cultural Probeと、 それについての解説本
本企画の相方はデザイナーとして活動しているTake
コミケ当日、Takeは帰省中だったのでソロ参加だった
唐突だが、今回のサークル参加は、自分だちが共通して持つ不満が発端となり突如発生したものだった
1000人に1人くらいは共感して貰えると期待しつつ、改めて想いを言語化したいと思う
コミケ3日目で頒布する本です。どうしても表現したかったモヤモヤを仲間@hssystk と画策して本にしてみました。家での培養肉生産家電の実装を想定した検証 Cultural Probe およびそれについての解説本です。今の自分の精神性を示していると思う。#C95 #お品書き pic.twitter.com/dVc5jgTJwe
— Keita T.@色々模索中 (@keitasciencecg) 2018年12月29日
この位置関係初めてだ#設営完了 pic.twitter.com/qyJBjkqXSr
— Keita T.@色々模索中 (@keitasciencecg) 2018年12月31日
sciencecontents.hatenablog.com
既存の未来感および未来構築からの脱却
始まりは昨年の9月終わり。
久し振りにTakeと二人で飲みながら近況報告をしているなか、こんな話になった。
「俺らにとってSFみたいな飛びぬけた未来感って、本当に創りたい未来と違うのでは?」
これまで2年ほどの間、我々は「培養肉」に絡む発信活動を行ってきた。
培養肉により宇宙空間への移住といった華々しいほどのSFのような未来を実現できる、などというのが技術としての謳い文句になっていたし、自分自身、それが自分の見たい世界であることを心底疑わずに発信し続けていた。
しかし、この数か月で実際は自分の中にそういったSF的(?)未来思想が薄いことに気が付き、それが自分たちの実現したい未来なのか?という疑問に至るようになりました。
そもそも自分自身の中はSFコンテンツと馴染みがあるわけではなく、頭にそのような引き出しが無い中、どうやって未来を想像して楽しめば良いと言うのだろう?
今思い返せば、世間の流行りに引っ張られていたともいえる
他人の言う未来構想を聞いてワクワクするには物足りなさを感じるようになり、自らワクワクする未来を構想することに心が傾いていったのかもしれない
「個」が見えない未来感への飽きと不満
雑誌やネットニュースといったメディアでも、どこか突き抜けた記事が目立つ。
「AIが人類を滅ぼす」
「2019年の食のトレンドに培養肉?」
「宇宙への移住は近い?」
といった具合
「培養肉」というワードそのものに話題性があることを踏まえれば、まあ、そうなってしまうのも当然に思うのだが。
勿論、魅力的に見せて発信していくという姿勢自体には何も言うことは無いし、見習うべきとも感じている。
しかし、自分を含め多くの人も、来る未来として実感が湧いていないのでないか、という疑念があった。
メディアの情報はあくまでも読んで楽しむ消費コンテンツに過ぎず、世間一般が自分たちの今後について考えるきっかけにはなり得ないのでは、と。
もう少し正確に表現するのであれば、
ほとんどの人からすれば、培養肉が日々の日常から断絶したものとして捉えられているのではないか?と思ったわけです。
メディアの情報というのは、得てして社会全体の生活を大きく切り取ったものが多く、個の生活が見えてこないのが問題であると感じた。
「培養した肉が家庭でも食べれるようになる」ではなく、それによって個人の人間の生活がどのように変わるのか?を受け手が自分事のレベルでイメージすることができないのでは。そう考えた。
そもそもなぜ高い解像度の未来を発信したいのかといえば、技術そのものの認知度や理解度を高めることは勿論のこと、「受け取った人々それぞれが、技術を自分の生活に落とし込むイメージして貰いたい」という個人的な思いがあったかもしれない。
「新しい技術=凄い」という一時のコンテンツに終わらせない、本当の意味で世間の認識を変えていける可能性を模索したかった、と感じた。
本当の社会実装のイメージは、我々がもっともっと地味なはず
なぜなら実装されて当たり前の世界では、その技術はもうキラキラしたものではないから
スマホという通信手段によって、確かにこの10年で人々の生活は変わったと思う。
でもその生活の変化を特別と感じるのは、ほんの一瞬で、一度当たり前になってしまえば日常はひたすら地味なものだとも感じる。
未来のプロトタイプと生活への実装
今回の企画では、とある一人の男(自分)の家に培養肉製造機がやってきた時の、生活や肉消費に対する考え方の変化を追った。
客観的な意見を得るためには第三者に頼んだ方が良いのかもしれないが、企画そのもののコンセプトを練るためにも先ずは自分で体験することにした。
結果については別の機会にまとめることにする。
1つだけ確実なのは、既存の肉を製造することへの執着心は消え失せ料理の主役としての役割は小さくなっていくということ。
勿論これは既存の肉だけを生産する場合であり、もっと複雑な仕様の肉を創った場合では別のことが起きるかもしれない。
下の画像はTakeがプロトタイプした家庭用培養器だ。
購入した冷蔵庫と真空保存容器をベースに、
「やや武骨な未来家具」をイメージしたディテールやギミックを施している。
今回のサークル企画の中核を担う。