新しい科学技術を伝える際には、どんな方法が良いのでしょうか?
1つの方法としてマンガやアニメ、小説といった「創作物」があります。
小中学生向けの図書でも、科学技術を分かり説明してくれる漫画は多くあります。
しかし・・・・・・・・・
本当に面白いもの、印象に残るものは
どれくらいあるでしょうか?
科学は分かり易く伝わる。これは確かです。
しかし、そのほとんどが「単に技術を分かり易く説明する」だけで終わってしまっているような気がしてなりません。
読み手に「俺もこの技術開発に貢献したい!!」と鼓舞するような作品は非常に少なく感じます。
科学技術を伝える創作物って実際どうよ??
これを考える切っ掛けになったのが、Shojinmeat Project代表のハニューの
ツイートでした。
仕事でのプレゼンだけどなんとなく賑やか pic.twitter.com/1yLQlQoYjG
— ハニュー@探:バイオハッカー (@yukihanyu1) 2017年2月5日
今後僕らがイメージする「細胞ものづくり」を広めていくうえで、技術の未来を伝えていくことの重要性は議論するまでもありません。 全く新しい分野なら尚更です。
多くの人達と一緒に推進させなくては実現不可能である以上、同じ未来を共有したいものです。
実際、創作物によっても様々な科学技術が訴求されています。
例えば以下のような例があります。実際にこれらの作品を観たのをきっかけに、
「VR研究・開発に目覚めた」
「物理学科で宇宙開発系の研究室を選んだ」
という人もいるかと思います。
では、なぜ創作物は強い訴求力を発揮するのでしょうか?
それを考えるために、幾つか前振りになります。
例えばAR(拡張現実)では、PVや広告などで「これができます。あれができます」などと説明をすることが多く見受けられますが、ぶっちゃけ・・・・・
「これを観ろ!!」の一言で終了します。
「電脳コイル」はAR(拡張現実)が浸透した世界を舞台にしたアニメです。
ここで重要なのは「浸透した」という部分です。
それを前提にした世界設定が与える、登場人物たちの行動や心情の動きが
あるからこそ受け手に強く訴求します。
宇宙開発であれば、「プラネテス」があります。
宇宙開発が進んだ世界に生きる主人公の行動を描いています。
他にもアニメのサイコパスも絶好の資料になり得ます。
このアニメではシビュラシステムという人工知能によって確立された社会を背景に
物語が進行します。
技術が物語のバックグラウンドにあり、それによって登場人物たちの心情に
どのような影響を与えるか?
この部分を生々しく描いているように感じました。だからこそ話に引き込まれる。
実際、サイコパスに影響されて人工知能を研究し始めた方も多いでしょう。
さて、ここから本題です。
これらの作品に共通している点は、
「強固な世界観が成立している」ということです。
それが作品の完成度となり、最終的には技術情報としての
「拡散されやすさ、言及されやすさ」が達成されるわけです。
科学技術を伝える場合、脚本や原作者の能力もそうですが、
「科学者がどれだけコミットできるか?」
「科学者がどれだけ強固な未来の世界観を語れるか?」
にも係ってくるでしょう。
そして更に言えば、
「クリエイタ―の発想をどこまで許容できるか?」も重要な要素になると思われます。
科学者サイドは創作のノウハウを持っていないことがほとんどです。
それなのに、科学者の一方的な都合でストーリーを構築していった場合、
出来上がるのは創作物ではなく、ただの「広報物」になりかねません。
まずは伝えるべきメッセージをしっかりと決める。
それを伝える為の素材を科学者がクリエイターに提供する。
クリエイター独自の発想によって、創作物が肉付けされていく。
それによって初めて、エッジの効いた創作物になるのだと考えました。
ちなみに純肉(培養肉)についてですが、小説投稿サイト「カクヨム」にて
実際にこれをテーマにしたものを見つけました。1話完結で読み易い。
この話も「純肉」が浸透した世界を舞台にストーリーが進行します。
純肉普及によって人々の価値観がどのように変わったか?
どのような新しい制度や法律ができあがったか?
研究している自分自身にも、まだ想像したことのない世界が描かれています。
いつか僕も創作物に手を出す際は、
こういう世界観をどんどん出していけたらと思います。
今回のまとめ
創作物で科学技術を語りたいなら、まずは科学者が頑張れ!!
最後に・・・・
「技術が普及した後の世界設定で創作物を出す」例として、こんなモノが
ありました。現状で僕がやりたいイメージに一番近かったです。
それではまた。